筋収縮のメカニズム(スライディングセオリー)と筋収縮の種類

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筋短縮のメカニズム(スライディングセオリー)と筋収縮の種類について簡単にまとめてみました。

筋短縮のメカニズム

さて、筋短縮はどのような機序で起こるのでしょうか?

骨格筋の構造のところで既述ですが、筋原線維の中は細いアクチンフィラメント太いミオシンフィラメントという2種類の線維(フィラメント)が規則正しく交互に配列されています。

拙い図ですみません、こんな感じです。↓

筋短縮は細いアクチンフィラメントが太いミオシンフィラメントの間に滑り込む(スライディングセオリー)ことによって起きます。

その機序を簡単に追ってみましょう。


1.まず、筋弛緩時の2つの繊維の状態は次のようになっています。

細いアクチンフィラメント上にはトロポミオシンと結合したトロポニン複合体というタンパク質が存在しています。

筋弛緩時は、アクチン表面上にあるミオシンとの結合部トロポミオシンにより覆い隠されてしまっているのでアクチンとミオシンは結合できない状態となっています。


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2.大脳皮質から出た収縮指令が脊髄から出た運動神経に伝達されると神経終末から神経伝達物質(アセチルコリン)が放出され筋肉の細胞膜を興奮させます。


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3.膜系を伝わった興奮は筋原線維の周辺に存在する筋小胞体に達し、筋小胞体からカルシウムイオンが放出されます。


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4.放出されたカルシウムイオンがアクチンフィラメントのトロポリンと結合すると、ミオシンとの結合部を覆い隠していたトロポミオシンが移動し、アクチンミオシンが結合します。


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5.アクチンとミオシンとの結合によりミオシンが活性化されると、ATP(アデノシン三リン酸:筋肉を動かす際のエネルギーとなる物質)分解で生じたエネルギーでミオシンヘッドが屈曲することでアクチンフィラメントがミオシンフィラメントに手繰り寄せられ、結果的にアクチンフィラメントミオシンフィラメントの間に滑り込むことで筋肉は短縮状態となります。


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6.放出されたカルシウムイオン筋小胞体に再び取り込まれると筋肉は弛緩状態に戻ります。


以上が筋弛緩~筋短縮~筋弛緩の流れです。

本当によくできているものですね。

あらためて感心してしまいます。

さて次は、

筋収縮の分類

分類の説明に入る前に、筋収縮という言葉の定義についてちょっと確認しておきますね。

一般的な概念からすると筋収縮というと筋肉が短縮する状態を思い浮かべるかと思いますが、短縮がなくとも筋に張力が発生する状態であれば筋収縮の概念に該当します。

では分類です。

観点の違いにより主に次の2つの分類の仕方があります。

分類1

求心性収縮(concentric contraction)もしくは短縮性収縮(shortening contraction)

関節の動きを伴い、抵抗に打ち勝つだけの張力が発生し筋短縮が起こる収縮です。

この求心性収縮を伴う運動をポジティブと表現することがあります。

(例)

・ダンベルカールで肘が伸展状態から屈曲状態になるまでの上腕二頭筋の収縮

・ベンチプレスで肘が屈曲状態から伸展状態になるまでの大胸筋や上腕三頭筋の収縮

遠心性収縮(eccentric contraction)もしくは伸張性収縮(lengthening contraction)

関節の動きを伴い、抵抗が張力より大きい場合に筋が張力を伴ないながら伸張する収縮です。

この遠心性収縮を伴う運動のことをネガティブと表現することがあります。

(例)

・ダンベルカールで肘が屈曲状態から伸展状態になるまでの上腕二頭筋の収縮

・ベンチプレスで肘が伸展状態から屈曲状態になるまでの大胸筋や上腕三頭筋の収縮

静止性収縮(static contraction)

上記2つの収縮と異なり関節運動を伴わない収縮です。

筋収縮があっても筋の長さに変化がない収縮です。

(例)

・ダンベルカールで肘を一定角度にして静止した時の上腕二頭筋の収縮

・胸の前で手を合わせお互いの手を押し合う時の大胸筋の収縮

分類2

等尺性収縮(isometric contraction)

分類1の静止性収縮とほぼ同義です。

等張性収縮(isotonic contraction)

筋張力に変化なく短縮または伸張する収縮です。

分類1の求心性収縮と遠心性収縮が該当します。

等速性収縮(isokinetic contraction)

日常の動作の中では見られない収縮で、

等速性収縮運動用の特殊なマシンによる一定速度下の回転運動時に作り出される収縮です。

まとめ

後々筋トレメニューの説明等を把握する際に役立つかと思いますので筋収縮の種類についてはきっちり押さえておきましょう。

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