本章では食事という観点から免疫力アップ法を探っていきたいと思います。
食事編としては次のような事が考えられます。
・食物繊維を多く含む食物を摂取する。
・ヨーグルト等の発酵食品(プロバイオティクス)を摂取する。
・キノコ類を摂取する。
・ビール酵母を摂取する。
・体を温めてくれる飲食物を摂取する。
・タンパク質、ビタミン、ミネラル不足を防ぐ。
・タンパク質の過剰摂取は避ける。
一つ一つみていきます。
食物繊維を多く含む食物を摂取する。
等への対策です。
腸内環境の健全化の為には食物繊維を多く含む食物の摂取が不可欠です。
食物繊維は水溶性と不溶性の2種類に分類できます。
水溶性食物繊維は糖質の吸収を遅らせることで血糖値の上昇抑制、善玉菌を増やす等の整腸作用等の働きをしてくます。海藻類、オクラ、納豆、アボガド、ゴボウ等に多く含まれています。
不溶性食物繊維は腸の蠕動運動を促進したり、有害物質を対外に排出してくれます。
豆類、きのこ類(エリンギ等)、切り干し大根等に多く含まれています。
1日の推奨摂取量は約18g、水溶性と不溶性の推奨摂取割合は1:2程度です。
上記の例では、定番の野菜類が入っていません。
食物繊維イコール野菜というイメージが強いのですが、野菜特に葉物は食物繊維の含有率はかなり低い為です。
葉物メインで食物繊維を取ろうとするとかなりの量を摂取しなければなりません。
ということで、効率的に食物繊維を摂取するのであれば、
白米は玄米に代える、
食パンはライ麦パン等に代える、
干した食品は概してかなり含有率が高いので、例えば干しシイタケ、切り干し大根、干し柿等を意識して摂取する
等の工夫が必要です。
その上で、食物繊維含有量の多い青汁等で補っていくというのが理想的かもしれません。
晩酌する方であれば、枝豆、ナッツ類は含有率も高めですからお薦めです。
ちなみに便秘になりやすい方は、便が固くなるのを防ぐ為に、朝起きたらコップ一杯の白湯を飲むことをルーティンにしましょう。
血液中の水分不足を補って血液がドロドロになるのを防ぐ効用もあります。
その際、冷たい水は胃腸を冷やしてしまいますのでNG、白湯がベターです。
又、硬くなり出にくくなった便をコーティングしてやる目的で、朝、大匙一杯のオリーブ油等を摂取してやるのも一法です。
ヨーグルト等の発酵食品(プロバイオティクス)を摂取する。
・腸内環境悪化よる低下
等への対策です。
加齢によって善玉菌は減っていきますので、腸内環境の悪い状態を改善する為には善玉菌を含有したプロバイオティクス食品を積極的に摂取してい必要があります。
動物性乳酸菌を含んだヨーグルト、チーズ、植物性乳酸菌を含んだ納豆、ぬか漬け、キムチ、味噌等が代表的なプロバイオティクス食品です。
植物性乳酸菌は胃酸に強く生きたままで腸に届きやすいのですが、動物性乳酸菌は胃酸に弱く生きたまま腸に届きにくいという特徴があります。
生きたまま腸に届くに越したことはありませんが、仮に乳酸菌が分解された状態でも免疫細胞を活性化する作用はあまり変わらないらしいので、あまり生死にこだわる必要はなさそうです。
気になるようでしたら最近、乳酸菌をチョコに包んで生きたまま腸に届きやすくした商品も出て来ていますので試してみるのも一方です。
いろいろな種類の動物性乳酸菌を含んだヨーグルトが各社から出ています。
いろいろ試してみて自分に合うものを探し出せて飲み続ける事がベストですが、特にこれというものを見いだせないのであれば、いろいろな種類のヨーグルトを交互に摂取するということでも問題はないかと思います。
食べるタイミングとしては胃酸の影響を受けにくいということで食後がベター。
朝昼晩では朝に摂取した方が便通には効果的のようですがそれ程こだわる必要はないのではないでしょうか。
ヨーグルト+食物繊維豊かなバナナ+乳酸菌の餌になるオリゴ糖の組み合わせは相乗効果も高くベストに近い組み合わせかと思います。
但しバナナもヨーグルトも体を冷やしますのでヨーグルトとオリゴ糖を良くかき混ぜた上で電子レンジで30秒程度温めてから食べると、冷えも防げますし、乳酸菌も活性化しますから一石二鳥、お薦めです。
但し、乳酸菌は熱に弱いので温め過ぎはNGです。
味的には多少酸っぱくなりますが、、、健康の為です、ガマンガマン!
ちなみにこの製品はビフィズス菌、乳酸菌にプラスして植物繊維やオリゴ糖も含有されていますのでお薦めです。↓
キノコ類を摂取する。
・腸内環境悪化よる低下
等への対策です。
しいたけ、しめじ、えのきたけ、なめこ、まいたけ等のきのこ類には免疫細胞を活性化してくれるβ-グルテンという多糖類が多く含有されています。
きのこ類は食物繊維も豊富ですので腸内環境改善にも効果があり免疫力アップにピッタリ、是非、積極的に摂取したい食品です。
β-グルカンは熱に弱いので、料理の際には要注意です。
β-グルカンはその他に大麦にも豊富に含まれていますので、大麦パン+きのこのソテー+最近流行りのサラダチキン、食後にヨーグルトなどという組み合わせはかなり理想的な朝食です。
ビール酵母を摂取する。
・腸内環境悪化よる低下
等への対策です。
ビール酵母はビールの製造過程でアルコールの発酵時に利用される微生物です。
ビール酵母には必須アミノ酸、各種ビタミン・ミネラル等がバランス良く含有されています。
又、ビール酵母の細胞壁には食物繊維が含まれていますから整腸作用もあり、さらに細胞壁にはきのこ類にも含まれているβ-グルカンも含まれていますから、免疫細胞も活性化してくれます。
その他にも含有成分のグルタチオンによる抗酸化作用、解毒作用、エルゴステロールによるコルステロール低下作用等の効用も持っています。
天然由来ですから安心ですし、価格も手頃ですから、コストパフォーマンスは抜群。
ビール酵母、本当に優れものでお薦めです。
体を温めてくれる飲食物を摂取する。
・低体温による低下
等への対策です。
体を冷やさない為には、野菜は葉物ではなくかぼちゃ、たまねぎ、ゴボウ等の根菜類摂取がベターです。
ねぎ、しょうが、とうがらしも有効。辛味成分が体を温めてくれます。
寒い日は、免疫細胞を活性化してくれるβ-グルカンが豊富なきのこをたっぷりと入れたキムチ鍋なんかはいいですね。
キムチで乳酸菌も摂取できますし、辛味成分で体も温まる。
当然、冷たい飲み物は極力控えたいところです。
起床後のコップ一杯の水は便通に効果的ですので是非取り入れたいルーティンですが、その際も白湯がベターです。
タンパク質、ビタミン、ミネラル不足に注意する。
タンパク質が不足してしまえば良質な免疫細胞を作り出すことができません。
通常、バランスの良い食事を心掛けていれば、蛋白質不足になる事はないと思いますが、肉や魚が嫌いで、ごはん、パン、パスタ、お菓子等ばかり食べているような場合は要注意です。
ビタミンやミネラルも免疫細胞の活性化、抗体産出、免疫細胞を傷つけてしまう活性酸素を抑制する抗酸化作用等の機能を有していますのでそれらの不足も免疫機能の低下要因となります。
免疫力に低下の原因となるタンパク質、ビタミン、ミネラル等の不足については、日常の食事で過不足なく摂取する事が理想ですが、どうしても外食が多くなってしまう場合等はプロテインやサプリメントで補っておきましょう。
但し、タンパク質の過剰摂取は避ける。
等への対策です。
タンパク質不足も問題ですが、過度な摂取は避けましょう。
小腸で消化吸収されなかったタンパク質は悪玉菌の大好物です。
肉類等タンパク質の過剰摂取により活性化された悪玉菌はどんどん増殖、アミン、アンモニア、インドール等の有害物資を大量に産出してしまいます。
その中には発がん性物質を含むものも存在します。
食生活の欧米化が大腸癌増加の大きな要因の一つにもなっている事も周知の事実です。
又、余分なタンパク質は分解されて窒素になり余分な窒素はさらに分解されてアンモニアを作り出してしまいます。
アンモニアは体に毒ですから肝臓で無害化され尿素に、尿素は腎臓の働きで尿として体外に排出されます。
このようにタンパク質の過剰摂取は肝臓と腎臓に余計な負担をかけダメージを与えてしまいます。
いかにタンパク質が重要な栄養素であり免疫細胞産生にも不可欠だからと言って、過度の摂取は禁物です。
抗生物質の乱用は避ける。
等への対策です。
抗生物質は病気の原因となる細菌を殺したり、増殖を抑制したりしてくれる有難い薬ですが、体に有用な細菌も同時に殺してしまうというデメリットも有しています。
腸内の善玉菌も被害者となり善玉菌が減少してしまいますので抗生物質の乱用は腸内環境の悪化を招きます。
と言って、受診して抗生物質を処方されてそれを無視して飲まないというのもなかなかできませんから困った問題です。
なんでもかんでも抗生物質で対処してしまう現在の日本の医療側の問題も大きいかと思います。
我々の対応策としては、日頃節制して極力お医者さんの世話にならないように努力すること、、、ぐらいしかできませんかね。
まとめ
以上、免疫力を向上させる為には食事の際どのような点に注意すればいいのかをみてきました。
どれも特別な事ではないので日常生活に取り入れることは困難な事ではないかと思います。
「こんな事なら私は全て実行している」という方も多いかもしれませんね。
免疫力をアップさせることは簡単な事ではないとは思いますが、日々の心がけ次第で少しずつかもしれませんが向上させる事は可能です。