ミネラルとは
自然界に存在する元素の内、炭素、水素、窒素、酸素を除いたものがミネラル(無機質)です。
身体の機能維持や調整に欠くことのできない重要なる栄養素です。
微量で効能がありますが体内では作れないので食物から摂取してやる必要があります。
現在16種類(カルシウム、ナトリウム、マグネシウム、リン、カリウム、鉄、亜鉛、マンガン、銅、イオウ、塩素、クロム、コバルト、セレン、モリブデン、ヨウ素)が知られています。
それぞれのミネラルについて順に見ていきましょう。
各ミネラルの機能、欠乏症、過剰症、含有食物
カルシウム
□概要
骨と歯に99%が、血液と筋肉に残り1%が存在します。骨生成等に関与する非常に重要なミネラルです。
身体の各組織が正常に機能するように通常、血液中のカルシウム濃度は一定に保たれています。
一定に保たれる機序はこうです。
カルシウム摂取不足
↓
血液中のカルシウム濃度低下
↓
副腎皮質ホルモンが分泌され骨中のカルシウムの放出を促進
↓
血中カルシウム濃度上昇
一時的な不足であれば問題はないのですが、慢性的な摂取不足が続いてしまうと
副腎皮質ホルモンが常時分泌
↓
過剰に骨中のカルシウムが放出
↓
余剰となったカルシウムは血管壁に付着
↓
動脈硬化や高血圧を惹起
という弊害をもたらしてしまいます。
この「カルシウムの不足がカルシウムを増やしてしまう」という矛盾をはらんだ仕組みは「 カルシウムパラドックス 」と呼ばれています。
神経細胞の細胞膜おいてはマグネシウムの手を借りてシグナルの伝達にも関与しています。
□機能
骨生成、神経情報伝達、筋収縮、血液凝固成分の合成に関与
□欠乏症
骨粗鬆症、不眠、精神不安定(イライラ、抑うつ感)
□過剰症
高カルシウム血症、マグネシウム欠乏症
□含有食品
乳製品、小魚、大豆、緑黄色野菜
カルシウムには消化酵素がなく吸収が困難ですので、
カルシウムの吸収を促進するビタミンDを多く含む食品、例えばきのこ類(特にきくらげ)と一緒に摂取すると効率的です。
インスタント食品や清涼飲料水中の食品添加物である「リン酸塩」はカルシウムの吸収を阻害してしまいますので食べ過ぎには気を付けて下さい。
いくら摂取しても吸収されなければ無意味です。
ナトリウム
□概要
主に細胞の外側に存在しています。
細胞膜では細胞内のカリウムと連携してシグナルの伝達に関与しています。
□機能
浸透圧調整、血圧調整、pH調整
□欠乏症
食欲不振、倦怠感、筋肉痛
□過剰症
高血圧
□含有食品
食塩、しょうゆ
マグネシウム
□概要
主に骨と筋肉に存在します。
細胞膜でのシグナルの伝達の際にカルシウムを手助けしています。
□機能
酵素・ホルモンの活性化、筋収縮(カルシウムを補助)、神経興奮抑制、血圧維持
□欠乏症
痙攣、しびれ、骨粗鬆症、心疾患
□過剰症
下痢
□含有食品
豆類、海藻類、魚、種実類
リン
□概要
体内ではカルシウムに次いで多いミネラルです。
85%が骨や歯に、残り15%が筋肉や神経に存在しています。
□機能
骨・歯の成分、エネルギー代謝促進
□欠乏症
食欲不振、体重減少、骨軟化症
□過剰症
カルシウム吸収阻害
□含有食品
魚、乳製品、豆類、肉
カリウム
□概要
主に細胞の内側に存在します。
ナトリウムとのバランスが重要です。
□機能
高血圧予防、筋肉を正常に保つ、むくみ予防
□欠乏症
心臓発作、腎不全
□過剰症
腎障害が有る場合は血圧低下、不整脈
□含有食品
果実類、豆類、肉類、魚類
鉄
□概要
約70%がヘモグロビンの成分、約25%が肝臓に存在します。
□機能
ヘモグロビンの成分、酸素運搬
□欠乏症
貧血、無力感、動悸、息切れ
□過剰症
嘔吐、下痢
□含有食品
レバー、海藻類、貝類、緑黄色野菜
亜鉛
□概要
主に骨、肝臓、腎臓に存在します。
□機能
成長促進、生殖機能維持、味覚を正常に保つ、抜け毛予防
□欠乏症
成長障害、味覚障害、生殖機能低下
□過剰症
頭痛、吐き気
□含有食品
魚類、肉類、穀類、種実類
マンガン
□概要
体内では12~20mg程度存在します。
□機能
骨形成、酵素の構成成分、補酵素
□欠乏症
骨形成異常、皮膚炎、糖質代謝異常
□過剰症
腎炎、肝障害
□含有食品
穀類、豆類、種実類、小魚、豆類
銅
□概要
主に骨、筋肉、血液に約80mg存在しています。
□機能
貧血予防(鉄の働きを補助)
□欠乏症
貧血、骨折
□過剰症
吐き気、嘔吐、下痢、脳障害、腎障害、肝臓障害
□含有食品
レバー、魚介類、種実類、豆類
イオウ
□概要
人の体を構成するのに必要なミネラルの一つです。
□機能
タンパク質の構成要素、糖質・脂質代謝促進、角質軟化
□欠乏症
皮膚炎、しみ
□過剰症
特になし
□含有食品
肉類(牛、羊)、牛乳、野菜(大根、ニラ)
塩素
□概要
主に胃液中の塩酸に存在します。
□機能
ペプシンを活性化、pHバランス調節
□欠乏症
食欲不振、消化不良
□過剰症
特になし
□含有食品
食塩、醤油、味噌
クロム
□概要
生体内にごく微量存在し、炭水化物や糖質の代謝に関与しています。
□機能
インスリンの働き補助、コレステロール値を低下
□欠乏症
インスリンの働き低下、体重減少
□過剰症
嘔吐、下痢、腹痛
□含有食品
海藻類、小魚、肉類
コバルト
□概要
体内ではビタミンB12の構成成分として存在します。
□機能
ビタミンB12の構成成分、ヘモグロビン合成補助
□欠乏症
ビタミンB12の欠乏症と同じ
貧血、神経障害、めまい、吐き気、食欲不振
□過剰症
特にない
C含有食品
貝類、レバー、のり、小魚
セレン
□概要
毒性の強い元素ですが、極微量の場合は抗酸化作用等を持つ必須ミネラルです。
□機能
抗酸化作用、重金属毒性軽減
□欠乏症
カシン・ベック症
□過剰症
爪の変形、脱毛
□含有食品
魚介類、肉類、卵
モリブデン
□特徴
体内で腎臓と肝臓に多く存在します。
□機能
尿酸代謝に関連する酵素の構成成分
□欠乏症
頻脈、頭痛、夜盲症
□過剰症
抗尿酸血症
□含有食品
豆類、豆腐、納豆、レバー
ヨウ素
□特徴
ヨードとも呼ばれ、甲状腺に多く存在します。
□機能
甲状腺ホルモンの構成成分
組織の成長を促進
基礎代謝を高める
□欠乏症
甲状腺肥大、基礎代謝低下、体重増加、疲労、甲状腺腫
□過剰症
体重減少、頻脈、甲状腺機能低下症
□含有食品
海藻類、卵
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