さてここから先は肩こりが他の病気由来ではないという前提で話を先に進めていきましょう。
自分で何とかできる可能性がある肩こりがターゲットです。
他の病気由来でない場合の肩こりの原因としては次のような事が考えられます。
1.不良姿勢
2.筋力不足
3.筋肉の柔軟性不足
4.関節が固い、可動域が狭い
5.血管が細い
6.栄養不足
7.過度のストレス
8.悪い生活習慣
一つ一つ見ていきましょう。
不良姿勢
良い姿勢の人の脊柱を側面から見た場合、頸椎部分は前彎、胸椎部分は後彎、腰椎部分は前彎のきれいなS字状を呈しています。
この適度なカーブが成人であれば4kg~5㎏もある頭部の重さや外部からの力が一点に集中しないようクッションやサスペンションのような役割を果たしてくれているわけです。
ところが、カーブがほとんどなくストレートな脊柱になったり、逆にカーブがきつ過ぎる脊柱になった場合は周辺の筋肉に余計な負担がかかってしまい肩こりや腰痛等を誘発しやすくなってしまいます。
筋力不足
特に女性の方に多いかと思います。
筋力が不足していると正常な立位姿勢が保てませんし肩周辺の筋肉が頭や上肢の重さに耐えられません。
又、ふくらはぎ等の筋肉が弱ければ血液ポンプとしての役割を果たせず、血行に悪影響を与えてしまいます。
筋肉の柔軟性不足
肩こりの状態は筋肉が固い状態ですから血管を圧迫してさらに症状を悪化させてしまいますし、他の部位でも固い筋肉があれば全身の血行を阻害して肩こりに悪影響を与えてしまいます。
関節が固い、可動域が狭い
肩関節と股関節は自由に動かせるように球関節になっています。
本来広い可動域を持ちスムーズな動きを要求されるこの2つの関節の動きが悪くなってしまうと他の関節や筋肉に過度の負担をかけてしまうことになります。
肩関節の動きが悪ければ肩甲骨の周囲の筋肉に負担がかかり肩こりを誘発してしまいますし、股関節の動きが悪ければ骨盤に歪みが生じることにより姿勢が悪くなり結果的に肩こりになってしまうという悪い連鎖を引き起こしてしまいます。
又、関節ではありませんが、肩甲骨と肋骨の関係も機能的には関節に近いものがあり、肩甲骨の動きが悪くなれば肩甲骨周辺の筋肉に負担がかかってしまいます。
血管が細い
これは生理学的な問題です。
筋肉隆々のスポーツマンの血管は太く浮き出ています。そういう人で肩こりの人は少ないでしょうね。
私はいくら鍛えても血管は浮き出てきません。現在、体脂肪10%前後ですから、脂肪で隠れてしまっているわけではなく単純に細い。
このタイプは酸素を供給する能力も疲労物質を回収する能力も劣っているので疲れやすく肩こりになりやすいと思います。
と言って血管を鍛えることはできませんから、この部分は直接的にはいかんともし難くスルーです。
但し、筋肉を鍛えたり血流を良くする事である程度はカバーできますのでそちらで対応していくしかありませんね。
栄養不足
どんなに他の部分で頑張ってもここがしっかりしていなければ意味がありません。
過度のストレス
過度のストレスは交感神経優位になり血管を収縮させてしまいます。
結果的に血液が滞ってしまうことで筋肉に十分な酸素を送れず、疲労物質もうまく回収できない状態になり肩こりを進行させてしまいます。
悪い生活習慣
不良姿勢での長時間にわたるPC作業やスマホの使用は肩周辺の筋肉に負担をかけてしまいますし眼精疲労による肩こりも誘発させてしまいます。
又、寝る前に行うと交感神経が昂って不眠の原因にもなってしまいます。
等です。
まとめ
以上、考えうる肩こりの原因を挙げてみました。
肩周辺の筋肉のケアーだけにフォーカスしても根本的な解決にならないということをご理解いただけたでしょうか?
肩こりを根本的に解消するにはこれらの原因に対する対策を立てて一つ一つつぶしていくことに為ります。
簡単にはいきません。解消するまでにはかなりの時間と労力が必要になるかと思います。
対策を立ててそれを日々のルーティンに組み込んで必ず実践、その結果、何カ月後にやっとなにかしらの効果が感じられるというレベルだと思います。
「ちょこちょこと簡単に肩こりを治そう!」等という意識では根本的な改善は見込めません。
しかし、努力して肩こりが解消できた時には副次的にメンタルやフィジカルも強くなりQOL(quality of life)も高める事ができている事を自覚できると思います。
肩こりがある事は確かにハンディですが、ポジティブに考えれば自分を変える為の一つのトリガーです。
ここは一つ頑張って肩こりを解消して自分自身を変えていく、そういう意気込みでいきましょう!