活動代謝(作業代謝)とは仕事や家事といった日常生活活動や運動で消費されるエネルギーのことです。
前述していますが、活動代謝は消費カロリーの約20~30%程度を占めています。
各生活活動や運動毎の消費エネルギー量がどのくらいかを算出する方法としては
・エネルギー代謝率(RMR)より求める方法
・代謝当量(MET)より求める方法
が代表的ですが、
この他にも消費エネルギー量を算出する方法として
・日本体育協会スポーツ科学委員会の日常生活の消費エネルギー表より求める方法
・ランニング限定の簡易計算式により求める方法
があります。
順に見ていきましょう。
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エネルギー代謝率(RMR:relative metabolic rate)
エネルギー代謝率とは基礎代謝に対する活動代謝の比率です。
計算式は
エネルギー代謝率(RMR)
= 活動代謝量 / 基礎代謝量
= {(活動時エネルギー消費量)- (安静時エネルギー消費量(安静時代謝量))}/ 基礎代謝量
<計算式の説明>
安静時代謝とは
基礎代謝の測定のように食事・室温などの測定条件を厳しく規定しない環境下、仰臥位又は座位安静状態で消費されるエネルギーのことです。
本計算には座位での代謝が使用されます。
安静時代謝 = 基礎代謝 + 食事誘発性熱産生 + 安静姿勢維持エネルギーとも表現できます。
基礎代謝より約20%多くなります。
活動代謝は純粋に作業に要したエネルギー量ですから、基礎代謝、食事誘発性熱産生等は含みません。
よって測定した活動時エネルギー消費量から測定した安静時代謝量を引いて求めています。
RMRを使用してウォーキング時(4.8km/時)の1時間当りエネルギー消費量を算出してみます。
年齢30代男性で体重60kgと仮定します。
30代男性の基礎代謝は22.9kcal/kg/日ですので時間当り換算では
22.9kcal/kg/日÷ 24時間 ≒ 0.95kcal/kg/時。
時速4.8km/時のRMRは下記表より2.8ですので、
0.95kcal/kg/時 × 60kg × 1時間 × 2.8 ≒ 159kcal
となります。
<日常生活活動時のエネルギー代謝率>
作業 | RMR |
---|---|
読書 | 0.1 |
食事 | 0.4 |
入浴 | 0.7 |
炊事 | 1.5 |
洗濯 | 1.4-1.5 |
拭き掃除 | 2.5-3.0 |
歩行(3.6km/時) | 1.8 |
歩行(4.8km/時) | 2.8 |
歩行(6.0km/時) | 4.7 |
代謝当量(MET:metabolic equivalent)
代謝当量(MET)とは、運動・作業時に安静時の何倍のエネルギーを消費するのかを安静時を基準に定めたものです。
実際の測定は活動・運動時の酸素消費量と安静時の酸素消費量を比較しています。
一般に目にするMETsという表記ですが、このsは複数形のsです。
ですから1の場合は1METです。
METsを使用した消費カロリーの簡易計算式は
消費カロリー =
(METs-1)(注1)× 体重(kg) × 時間(時) × 1.05(kcal/kg/時)(注2)
となります。
(注1)
METsには安静時の分も含まれますから純粋に運動・活動分の消費エネルギーを求めるということで1MET分引いています。
(注2)
1.05kcalという数値は安静時の1kg1時間当たりの消費カロリーです。
求め方ですが、
安静時には凡そ3.5ml/kg/分の酸素を消費します。
1時間当りに換算すると3.5ml/kg/分 × 60分 = 210ml/kg/時の酸素が消費されることになります。
酸素1リットルを消費するには5kcalのエネルギーを消費します。
1ml当りに換算すると5kcal ÷ 1000ml = 0.005kcal/mlです。
これらをもとに算出すると
安静時の1kg1時間当たりの消費カロリー =
210ml/kg/時× 0.005kcal/ml = 1.05kcal/kg/時となります。
前項ではエネルギー代謝率を使用して年齢30代男性で体重60kgの方の4.8km/時のウォーキング時の時間当りのエネルギー消費量を算出し、結果は約159kcalでした。
では、METsではどうなるでしょうか?
4.8km/時に相当するMETsは3.5ですから体重60kgのランナーがMETs3.5レベルのウォーキングを1時間した場合の消費量は
(3.5-1) × 60kg × 1時間 × 1.05kcal/kg/時 ≒ 158kcalとなりました。
ほぼRMRより求めた数値と同値となりました。
<ウォーキング時の時速別METs表>
METs | 時速 |
---|---|
2.8 | 3.2km/時 |
3.3 | 4.0km/時 |
3.5 | 4.5-5.1km/時 |
4.3 | 5.6km/時 |
5 | 6.4km/時 |
7 | 7.2km/時 |
8.3 | 8.0km/時 |
<ランニング時の速度別METs表>
MET’S | 時速、分速 |
---|---|
6 | 6.4km/時、107.3m/分 |
8.3 | 8.0km/時、134.1m/分 |
9 | 8.4km/時、139.4m/分 |
9.8 | 9.7km/時、160.9m/分 |
10.5 | 10.8km/時、179.7m/分 |
11 | 11.3km/時、187.7m/分 |
11.5 | 12.1km/時、201.1m/分 |
11.8 | 12.9km/時、214.5m/分 |
12.3 | 13.8km/時、230.6m/分 |
12.8 | 14.5km/時、241.4m/分 |
14.5 | 16.1km/時、268.2m/分 |
16 | 17.7km/時、295.0m/分 |
19 | 19.3km/時、321.8m/分 |
19.8 | 20.9km/時、348.6m/分 |
23 | 22.5km/時、375.4m/分 |
日本体育協会スポーツ科学委員会の日常生活の消費エネルギー表の数値をもとに算出する方法
計算式は
消費カロリー=体重(kg)×時間(分)×消費量×年齢・性別による補正係数 。
消費量と年齢・性別による補正係数は下記の表を参照して下さい。
年齢30代男性、体重60kgの方が4.8km4/時のウォーキングを1時間した場合は
60kg×60分×0.0747×0.955≒257kcal
RMRやMETsから算出した数値よりかなり大きな数値となりました。
《ランニング関連の消費量》
(単位:kcal/kg/分)
種目 | 消費量 |
---|---|
ジョギング(軽め) | 0.1384 |
ジョギング(強め) | 0.1561 |
歩行(普通) | 0.0570 |
歩行(80m/分) | 0.0747 |
歩行(100m/分) | 0.1083 |
自転車(普通) | 0.0658 |
自転車(平地)(10km/時) | 0.0800 |
自転車(平地)(15km/時) | 0.1083 |
水泳(クロール) | 0.3738 |
水泳(平泳) | 0.1968 |
バット素振り | 0.2641 |
リズム体操 | 0.1472 |
《年齢、性別による補正係数》
年齢 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
15 | 1.157 | 1.083 |
16 | 1.12 | 1.037 |
17 | 1.091 | 1.008 |
18 | 1.062 | 0.996 |
19 | 1.032 | 0.983 |
20~ | 1 | 0.959 |
30~ | 0.955 | 0.909 |
40~ | 0.93 | 0.872 |
50~ | 0.926 | 0.864 |
60~ | 0.909 | 0.864 |
70~ | 0.893 | 0.86 |
80~ | 0.864 | 0.86 |
ランニング限定の簡易計算式
ランニングの場合は
体重(kg)×距離(km)
という簡易計算式もあります。
60kgの方が時速10kmで走ったとすると1時間当たり60kg×10km=600kcalとなります。
ランニングの場合であれば簡易式で十分な気がしますね。
これからランニングを始めようという方で標準体重をかなりオーバーしている場合は本格的なランニングは標準体重レベルまで落としてからにした方が無難です。
とにかく体重が体に与える影響は思っている以上に大きいですからね。
過体重のまま走れば膝、腰、心臓、血管等は悲鳴あげて必ずと言っていいほど障害が出てしまいます。
最初は自然を楽しみながらの散歩レベルのウォーキングと食事量を心持ち減らすことを併用してある程度減量したうえで、フルパワーウォーキングからジョギングに徐々に移行していかれた方が良いかと思います。
フルパワーウォーキングであれば軽めのジョギングに近いカロリー消費になります。
くれぐれも無理をしないことがダイエットを成功させる為には大事なことです。